ため息しか出ない

数年前、友人に「知り合いのところで生まれた子猫の里親を探してる」と、
写真つきで勧められたことがあった。ロシアンブルーの眼が美しい子猫だった。
その時はまだ引っ越したばかりで、自分たちの身の回りのことも
おぼつかない程だったのでお断りしたが、
彼(もしくは彼女)は無事貰い手があり、引き取られていった。
それ以来、自分の猫好きに改めて気がついた私は、
猫の里親掲示板を見ては、「はぁ〜飼いたいなぁ……でも遠いなぁ……」
などと、猫を飼うことへのあこがれをなぐさめ、騙し続けていた。


今朝、里親の話が舞い込んできた。
職場の人から、「近所に野良子猫がいる。引き取ってみないか」とのこと。
うちはアパートだし、一緒に住んでいる人にも許可を取らないとわからないので、
昼休みに相談。
「付随するもろもろの責任にも真剣に向き合え。『猫』の前に『命』だから。」
との至言をいただき、仕事あがりに大屋さんに相談しようと決心。


職場に戻ると、

「さっきの猫ね〜、うずくまって動かないし、病気みたいだから保健所に連れて行くって」

その場で泣くかと思った。
あなたは知らないのだ。保健所に行った猫がどういう扱いを受けるか。
あなたは知らないのだ。命の大切さを。

あなたは知らないのだ。私がどれほど決心のために思い悩んだかを。
最後のは別に知らなくてもいいが、これだけは知っておいて欲しい。
人の命と同じに、動物の命も大切なのだと。
保健所で死んでいく猫や犬たちは、決して安楽死などという方法などではなく、
ガス室の中で徐々に窒息させられ、それでもなお死なないものは、
生きたまま焼かれるのだということを。


私が今朝、決心していたら子猫は死なずに済んだのだろうか。