私は学生。とても大きな校舎の中で、一人で勉強している。
ふと気がつくと、次の授業のために教室からぱらぱらと人が出て行っている。
窓の外には、豪華客船がゆらりと浮かんでいる。
それを指差して、「次の授業はあそこでするんだ」と言っている。
急いで机の上の荷物をまとめる。でも、何の授業かさっぱりわからないので、
とりあえず筆記用具とかばんを持って外にでる。


細長い廊下が延々と続く。暖かいオレンジ色の光がぼうっと廊下全体を
包んでいる。もうみんな先に行ってしまったので、急いで追いかける。
人ひとりほどしか通れないこれまた細い階段をダッシュで駆け下りる。
やっとみんなに追いついた。みんなも走っている。
降りるにつれて階段の幅が大きくなり、ロビーのようなところに出た。
すると、明らかに小学生以下の女の子が、こっちに向かって走ってくる。
「なんで反対方向に走るんだ?」と疑問に思いながら、
向かいの階段を駆け上がろうとしたその時。


ざざぁっ。


横を見ると、無色透明な液体がこちらに襲いかかってくる。
それはまるで何かの意識を持っているかのように、先頭部分を持ち上げたり
揺らしながら、下へ下へと流れ込む。
周りの皆は、とにかくその流れに捕まるまいと、上へ上へと逃げる。
注意深く逃げ道を探すと、エレベーターを見つけた。
5,6人でエレベーターへ飛び込む。


やけに冷静なエレベーターガールが、「何階ですか?」と尋ねるので
とっさに13階と答えた。その数字には何の根拠もなかった。
エレベーターが到着すると、その階もまたパニックになっていた。
階を確認すると、2F。エレベーターガールはにやにやしながら、
ドアを開けたまま、閉めようともしない。
「こいつは敵だ。」そう思った私は、外へと飛び出した。
目の前にはホールが見える。その先に出口に続く階段がある。
足元を見ると、さっきは透明だった液体は、黄色く濁ってぴちゃぴちゃと
跳ね回っている。気にしてはいられない。とにかく出口へ走るんだ。
ホールの中央に出た。二人組みの男が何か歌っている。
その歌がこの液体を操っている。そう感じた私は一人の男の手を掴んだ。
ぬるっとした、あたたかい感触。
次の瞬間、私は液体の大波にさらわれた。流れ落ちる感覚と、
「私は溺れ死ぬのだ」という意識。不思議と苦しくはなかった。