役者と飲んだ

プロの役者さんというのは、公演初日から打ち上げがあるらしく、
彼もまだ公演期間の中日を過ぎてもいないのに平然とがぶがぶ飲んでいた。
彼は舞台上でかなり動く役所なので、肉体的に疲れていると思うのだが、
飲んでも飲んでも顔色が変わらない……
毎回のように観劇した後に飲みに誘うという友人たちに聞いてはいたが、
これほどまでに飲むとは、かなりストレスが溜まっているに違いない。


話したことはと言えば、やはり舞台のこと。
内容についての解釈・質問から、「こんな失敗がもしあったらどうする?!」など。
ちょっとしたアイデアが盛りだくさんで、勉強になったのは言うまでもない。
話を聞くうちに、彼がかなり遠い存在になっているのを感じた。
しかし、飲んでいるときは寂しさを感じる事はなかった。
彼は、私たちと共に劇を作っていた、あの時の彼と同じだった。
彼が私たちかつての仲間と、公演期間中に飲むのはあの頃に戻るためなのだろうか?


そして彼は今日も舞台に立っている。事故のないよう、頑張ってもらいたい。